2019年度採択者(五十音順、敬称略)
有岡 祐子
名古屋大学医学部附属病院 先端医療開発部
特任助教
「染色体22q11.2欠失患者iPS細胞を用いた精神疾患関連オルガネラ病態研究」
内村 幸平
山梨大学医学部 内科学講座第3教室
助教
「新規腎臓オルガノイドを用いた細胞アッセイへの応用」
川井 俊介
京都大学iPS細胞研究所 増殖分化機構研究部門
特定拠点助教
「ヒトiPS細胞からのin vitro骨形成過程再現系の構築とその応用」
河野 通仁
北海道大学大学院医学研究院 免疫・代謝内科学教室
助教
「疾患iPS細胞を用いた精神神経ループスの病態研究」
南川 淳隆
京都大学iPS細胞研究所 増殖分化機構研究部門
特定研究員
「運動の免疫調整機構の解析を通じたiPS細胞製剤の生体内コントロール法の開発」
宮岡 佑一郎
東京都医学総合研究所 再生医療プロジェクト
プロジェクトリーダー
「生体内治療分子産生工場としてのゲノム編集iPS細胞」
2019年度贈呈式
iPSアカデミアジャパン研究助成の2019年度採択者に対する贈呈式が、2020年2月6日、京都大学芝蘭会館別館にて執り行われました。また、贈呈式に引き続き行われた懇親会では、採択者や選考委員が専門を超えて交流を深めました。
選考委員長 総評
山中伸弥教授がヒトiPS細胞樹立の論文を発表したのが、2007年11月です。山中先生や松本先生(元京大総長)は、この技術を広く国の内外に普及させ、その実用化、臨床応用を促進するには、京都大学がiPS細胞技術の基本特許を取得し、適正な料金でライセンスすることが不可欠であると考え、2008年6月にiPSアカデミアジャパンが設立されました。
爾来われわれはCiRAの知財担当者との協力のもとにiPS細胞基本特許のライセンス活動を着実に行ってきましたが、今日では契約企業は国内約110社、国外約100社を超えるまでになり経営も安定してきました。そこで若手研究者を対象とした研究助成を設立10周年にあたる昨年より開始しました。
今回も全国より24件の研究助成の応募がありましたが、基礎研究から応用研究まで範囲が広くそれぞれ質の高いものでした。
各選考委員が研究課題の意義、独創性、実現性、実績などについて評価し、事務局において集計した客観的なデータをもとに選考委員会において慎重に審議して採択者を決定しました。5件を選ぶのに熱心に議論いたしましたが、結論として6名がこの研究助成の意義を生かすことになると考え1名増加しました。
採択された6名の研究は、いずれも素晴らしい成果をあげられる可能性の高いものです。
京都大学医学部同窓会の会報(芝蘭会報)200号記念誌に、岩井先生の司会で、井村先生、本庶先生、山中先生、中西先生、成宮先生らによる座談会記録が掲載されています。山中先生がその中で、iPS細胞による再生医療未来について、「すでに十数件ほどの治験や臨床試験が多様な分野で始まっており、これらのいくつかが、出来得る限りの科学的検証に耐えるもの、効果のあるものとして残り、10年後、20年後には一般的な治療法になってほしい、一つで、二つでも、三つでも・・・」と述べておられます。
これは再生医療に限った事ではなく、創薬また疾患の病理、病態の解明などiPS関連の広い分野においても期待されることと思います。そしてその実現の原動力になるのは今回採択された方々のようにiPS研究の中核を形成している研究者です。
皆さんの一層のご活躍を祈念します。
選考委員長 吉田 修
贈呈式の様子






